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新渡戸稲造先生が伝えたかった「武士道」精神

先般、武士道に対する質問があったので、私なりの武士道精神解釈をします。

なお、私の述べる武士道とは世界的な名著である新渡戸稲造先生(武士階級出身)の「武士道」です。

新渡戸先生の本は英語で書かれ、初版地はアメリカでしたので、アメリカで人気に火が着きました。

「武士道」の影響力は絶大で、時の大統領のセオドア・ルーズベルトに絶賛されただけでなく、のちにはケネディ大統領や台湾の李登輝にも愛読されました。

また、ハリウッドスターのトム・クルーズにも多大な影響を与え、彼の監督作品「ラスト・サムライ」制作にもつながりました。

では、武士道精神とは何なのでしょうか?

 

■武士道の7つの核

・義:正しさ

・勇:勇敢さ

・仁:情け

・礼:敬意の表現

・誠:誠実さ

・名誉:個人の誇り

・忠義:主君への忠誠

※これらは各々が独立したものではなく、相互に関係しあい補完しあって作用しています。

しかし、悲しいかな、戦前の軍国主義に突っ走る日本では、7番目の忠義が強調されて仕込まれ、歪んだ形で日本人の精神を築きました。未だにその弊害が日本社会で散見されますね。

 

義と勇は、武士道を支えるサムライの基本条件。

仁・礼・誠は、人と向き合うときに大切とされたこと。

名誉と忠義は、武士が命を懸けたものです。

 

■武士道のルーツ

 

武士道は明文化されていたわけではなく、鎌倉公方の時代から戦国期を経て自然発生的に武士階級に醸成され、江戸時代には武士の行動規範として定着しました。

その思想的ルーツはもちろんあります。

・仏教:運命を穏やかに受け入れ従う心。非常事態でも心を平穏に保ち、生に固執しない心。

・神道:国土を憂い、皇室を敬う心。自然への信仰心と先祖への信仰心。

・儒教:神道に由来する道徳体系。孔子や孟子の著作に親しむ。

・陽明学:身につけた知識を日々の行動に反映させるという知行合一の考え。

 

■武士社会にはしごきやくだらない上下関係は無かった。

 

江戸時代までは身分制社会ですから出自による明確な上下関係はありました。

しかし、各々がなすべき役割も明確でしたので、現代社会で見られるような体育会系的な理不尽な上下関係やしごきなどはありませんでした。

将軍には将軍の、各藩の殿には殿の、家老には家老の、その他の者には相応の役割分担が明確でしたのでね。

 

■日本から武士道精神が消えたのはいつからか?

 

日露戦争(1904~1905年)以降の日本軍には徐々に武士階級出身の軍人が減ってきて、いわゆる平民から士官学校を経た者たちが中枢部に入ってきました。

彼らには、武家のような矜持も威厳もありません。

そこで、自らの威厳を高めるために天皇陛下という虎の威を借り出したのです。

それがやがて軍国主義へと続き、日本や世界を悲劇に巻き込んだのです。

しかし、今でも日本人のDNAには少なからず「武士道精神」の種火は残っています。

決して古臭い考えだとは思いません。

自らを律し、矜持を持って生きるって素晴らしいことです。

安倍内閣はやたらと明治維新150年を喧伝してます(麻生大臣の先祖が大久保利通で、かつ総理自身もタカ派だからか?)が、果たして本当に明治維新は称賛されるべき革命だったのでしょうか?

この、武士道精神という日本人の誇りを胸に行きたいものですよね。