【武士道とは何を伝えたかったのか?】
士族の新渡戸稲造先生はどんな思いで武士道を著したのか?
そして、世界にインパクトを与えた武士道の基本要素は何なのか?を共有したい。
(出典は三笠書房の要約版より)
◆義
道理に任せて決断する心。
最も厳しい規範であり、「勇」と並ぶ武士道の双生児。
人間が進むべき真っ直ぐで狭い道である。
「義」から派生したはずの「義理」は、「世論が期待する漠然とした義務感」に成り下がった。本来は、尊い「正義の道理」である。
◆勇
ただ危険を冒すのではなく、正しいことをすることである。
勇猛、忍耐、勇敢、剛胆、勇気などの徳をさす。
試練に耐える胆力である。武士は幼少期から厳しい訓練を受けた。
精神的な意味においては、常に動じない「心の平静」を意味する。
◆仁
愛、寛容、他者への同情であり、優しい母のような徳である。
苦しんでいる人のことを心に留める心であり、人の上に立つ者に必要な心である。
か弱い者、劣った者、敗れた者への仁は特に重要である。
武士にも詩歌や書物、音楽を嗜む感性が求められる。
◆礼
他人に対する思いやりを目に見える形で表現することである。
他人の喜怒哀楽に共感し、優美な感性として表れるものである。
「礼」を守るための「礼儀作法」は、一番無駄がない最善の方法である。
正しい作法に基づいた日々の鍛錬によって、身体の機能にも秩序ができ、環境とも調和して精神が統御される。
◆誠
嘘をつかず、誤魔化さないことである。
「礼」の裏付けに必要であり、また「名誉」と分かち難く混合していた。
「武士の一言」という表現が示すように、武士は言葉に重きをおいたため、約束は証文無しで決められ、実行された。
社会的身分が高いほど、より高い「誠」の水準が求められた。
◆名誉
個人の尊厳であり、また家族意識とも結びついていた。
「最高の善」であり、名誉のためなら貧困や試練にも耐え、生命すら安いものだと考えられた。
若者が追求するのは富や知識ではなく、名誉であるべきである。
行き過ぎた短気は軽蔑され、忍耐強さが必要とされた。
◆忠義
主君に対する忠誠心である。
武士道では個人より国が先ず存在すると考えた。したがって主君への忠義は、家族への義理人情よりも優先されるべきものだった。
主君に媚びへつらって機嫌をとる者は軽蔑された。主君と意見が分かれるときは、堂々と反論するのが家臣のとるべき忠節の道とされた。
※今の日本人には武士道の矜持はあるか?
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