
多くの企業経営者や担当者は今春からの「労働時間規制」に目を奪われていると思いますが、私が危惧するのは中小企業にも2021年4月から適用される“同一労働同一賃金”です。
なぜ怖いのか?
■厚生労働省のガイドラインを守っていても裁判で否定されたら負けるからです。
ここ数日来、社労士や労働問題に関わる弁護士には興味を引く判決が出されました。
一つは、「時給で働くパート従業員にも賞与は支払われるべき」という判決。
もう一つは、「勤続年数が長いのに非正規雇用という理由で退職金が支払われないのは違法」という判決です。
厚生労働省のガイドラインでは、合理的な理由を説明できれば格差があっても良いとなっていますが、私個人の感覚からいえば“合理的な差”を説明できる企業はほぼ無いと思います。
何故なら、裁判になった場合に説得する相手は裁判官です、
裁判官を納得させられるほど日本の企業は厳密に個々人の業務や裁量、責任を明確にしているとは思えないからです。
■もう2年しか残っていない
人件費をねん出するには社労士のみならず税理士や主要取引銀行との相談も必要です。
そのうえで以下のような検討が必要になります。
ベース給与をいくらにするのか?
ばぜその業務はその時給なのか?
正社員で働いている人とは何が違うのか?
どういう基準で評価されているのか?
同じ仕事なのに給与格差が出るのはなぜか?
賃金体系はどうするか?
退職金制度は何にするか?
就業規則はどうするか?
外注を活用するか否か?
etc.。
労働条件の変更が絡むので労使の合意形成は不可欠です、
故に「同一労働同一賃金」のほうが難しいのです。
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