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私説【ガンダム論】

■適役のエースながら“赤い彗星のシャア”に魅了されながら46歳になってガンダムシリーズが伝えたかったことに気が付いた。

現在、NHKでは毎日曜深夜に総合テレビで機動戦士ガンダムのアニメ放送開始40周年を記念してシャアの生い立ちたちから赤い彗星の異名をとるまでのスピンオフ作品『ガンダム The origin 前夜 赤い彗星』が放映されていて、シャア好きの私はハマってしまった。

そこで、過去の作品を復習しながらこのアニメが伝えたかったことを自分なりに解釈したのでなるべく一般化してお伝えします。

■人は愚かな生き物であり大義なんてどうにでも後付する。勝った者の戦いは聖戦と称賛され、負けたものは大量虐殺の戦争犯罪者として裁かれる。

本来は私利私欲に塗れた獣でしかないという、先の二度の世界大戦や今も各地で続くイデオロギー対立による戦を不毛で虚しいものだというアンチテーゼとして書かれている。

本作はいわゆる軍着物や戦略書としても読める物語です。

この物語は主人公がアムロという人物なので敵のエースのシャアが敵として登場はしますが、両者には善悪はないのです。

各々が所属する団体のために誠実に任務を遂行しているだけ。

強いて言えばシャアにとっては父と母を殺したザビ家に対する復讐という怨念もありますが。

描かれているのはどちらの側も上層部(支配階級の政治家や官僚・企業家)は「私利私欲に塗れ己の愚行を正当化するために尤もらしい大義を掲げ、責任は取らない」という点が共通している。

例えば、シャアが所属するジオン公国の総帥にしてシャアの仇のザビ家の長男 ギレン総帥はどうみてもヒトラー総統をモデルとしている。

対するアムロ属する地球連邦の首脳たちも私利私欲に走った衆愚政治の結果生み出された腐敗した者たちとして描かれている。

【いつの時代も立場の弱い者から犠牲になる】…こんなことはあってはならない、社会でも企業でもというメッセージが読み取れるのである。

上に立つ者はその階級が高くなればなるほど謙虚になるべきであり、責任を取れないならば保身に走らず消えろと言っているのである。

事実、シャアとアムロは雌雄を決しないまま行方不明で消え去った。

上に立つ者がどうあるべきかをガンダムというアニメは我々に教えてくれている。

個人的には司馬遼太郎の坂の上の雲にも匹敵すると思う。